人見知りの私がバーベキューに参加して透明人間と化した話。
↑前回↑の続きのお話です。
そうこうしているうちに、肉も野菜も大方焼き終わってしまった。死活問題だ。
焼くものが無い。居場所もない。どうしようもない。
炎の番人おいなり
透明人間と化した私は、ひたすら火の番をしてその場を凌ぎ、いつ来るか分からないお開きの瞬間を、今か今かと待ちわびていた。
修行かと思った。
ガンジーになった気分だった。
とにかく暇なので、コンロの火が絶えないように、うちわで酸素を送り込み、炭の燃焼に拍車を掛け、炎上させた。
炭がパチパチ音を立てながら徐々に白く灰になっていく様をまじまじと見つめた。
そして、真っ白になった炭を見て「ははは、ざまぁみろ」と思ったりしていた。
ちょっと危ないやつに見えたかもしれない。
うん。実に不毛な時間だった。
ふと思う「いつ終わんねん」
どれだけの炭を燃やし尽くしただろうか。
すっかり陽は落ちたというのに、終わりが見えてこず、本格的に不安に駆られ始めた。
男性陣はまるで呪いの儀式を執り行っているみたいに、火を囲み、得体の知れない肉を焼き、酒を呷る…。
私は目の前の炭を炎上させながら、ふと我にかえった。
なんやこれ。アホらし。やめよ。
おいなり、ついにサジを…いや、トングを投げた。
誰かがきっかけを作らないとこの宴は延々と続いてしまう…と思った私は、気付かれない程度に、こっそりと片付けを始めた。
すると奥様達も、嬉々として片付け始めた。このときの団結力は素晴らしかった。全員女神に見えた。
解散。
男共は名残惜しそうにしていたが、気づかないふりをして片付けを済まし、ようやく解散となった。
長かった。こんなに長期戦になるとは思わなかった。
拘束時間はざっと7時間。
報酬は肉のみ
いくら私が食いしん坊だからといって、これでは割に合わない。
ブラック企業はどこまでもブラックなのだと、身をもって知った。
帰り道
ずっと息がつまるような奇妙な空間に閉じ込められていたからか、帰りの車の中では、やっと正常な呼吸が出来た気がした。
時速150キロで突っ走りたいぐらい開放感いっぱいだった。(といいつつヘタレなので制限速度は守る)
私は窓を全開にして、叫んだ。
「やっと終わったああああぁぁぁ」
私史上稀に見る苦痛イベントをなんとか遂行し、1つレベルアップできた気分だった。
そこで放った旦那ちゃんの驚愕の一言がこちら↓
「思ってたより全然大丈夫やったなあ」
(あんたはね‼︎‼︎‼︎‼︎)
おわり。
ほなねー。